実際見た自筆証書遺言の事例(1)

遺言は、民法に定め方式に従わなければなりません(民法960条)。方式に違反した遺言は、無効になります。。実務上、遺言として登記等に使用することで、見る機会があるのは、自筆証書遺言と公正証書遺言になります(ここでは、公正証書遺言は扱いません)。

 自筆証書遺言は、その名のとおり自筆で書く遺言になります。方式について民法は、「遺言者が全文、日付、氏名を自著し、これに印を押すこと等」を要求しています(民法968条)。自分で書くだけなので、専門家に援助を依頼しなければ費用は紙代とペン代くらいになります。


 専門家が関与する場合の遺言は実務上ほとんどが公正証書遺言でなりますので、自筆証書遺言については、遺言者が独自に書籍等を参考に記載したものしか私は見たことがありません。相続登記等の依頼があった場合は、家庭裁判所での検認からスタートします。

 検認は、通常の相続登記を同様な書類を家庭裁判所に提出します。遺言者の12歳くらいから死亡までのすべての戸籍類、法定相続人の戸籍など多くの書類が必要になります。相続人の数が多ければ結構な数が必要になりますし、時間もかかります。


 検認が終わって遺言をみるとこれで登記できるだろうかというものがでてきます。@遺言の作成段階で、既に分筆登記がされていて、地番、地積が食い違っていたり、A相続人に農地を与えるのに、特定遺贈(ある不動産を○に遺贈する内容)だったり、B不動産の表示で小字以下しか記載していなかったり、C所在の記載があるが、地番の記載がなかったりしたものがある。


 @については、法務局に相談したところできれば遺産分割にしてほしいと言われたので、遺産分割協議で登記をした(実際にその遺言で、登記できるかは分らなかったが、遺産分割によることができたので遺産分割によりました。

 Aについては、農地法の許可の要件を備えていなかったので、遺言では登記できないので、遺言による取得を放棄して、遺産分割で取得して登記しました。

 Bについては、法務局でなんとかこの遺言で通過し、登記できた。

 Cについては、遺言の効力が発生する前に見る機会があったので、登記申請には至っていません。確かに、この所在には、この不動産しか所有していないので、特定できるといえば特定できるけど、実際登記はどうなのかなと思いました。


 自筆証書遺言は、特に注意が必要になります。せめて書籍を熟読して、書いていただきたいと考えています。

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