嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある男女の間から生まれた子供が典型例である。その他認知準正、婚姻順正でも嫡出子になる。
非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女の間から生まれた子供である。
民法第900条
同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 (略)二 (略)三 (略)
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、(略)とする
嫡出子と非嫡出子の差が法律上顕著にでるのが、法定相続分になります。上記のとおり非嫡出子は、嫡出子の法定相続分は2分の1になります。民法900条但し書きは、憲法裁判となっています。
憲法14条
1 すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない(以下略)
簡単にいえば、民法900条但し書きは、非嫡出子というだけで、法定相続分が嫡出子の2分の1であるというのは、法の下の平等に反するから、憲法違反であるという主張になります。
民法900条4号ただし書前段の規定の立法理由は,
①法律上の配偶者との間に出生した嫡出子の立場を尊重することによって
②被相続人の子である非嫡出子の立場にも配慮して,非嫡出子に嫡出子の2分の1の法定相続分を認めることにより,非嫡出子を保護している
③法律婚の尊重と非嫡出子の保護の調整を図っている
④現行民法が法律婚主義を採用している以上,その立法理由には合理的根拠ある。
⑤非嫡出子の法定相続分を2分の1としたことが右立法理由との関連において著しく不合理であり,立法府に与えられた合理的な裁量判断の限界を超えたものということはできない。
として、合憲としました。
①嫡出子と非嫡出子との法定相続分における区別は,憲法24条2項が個人の尊厳を立法上の原則としている趣旨に相容れず,出生について何の責任も負わない非嫡出子をそのことを理由に法律上差別することは,婚姻の尊重・保護という立法目的の枠を超えるものであり,立法目的と手段との実質的関連性は認められない。
②本件規定が制定当初において合理性があったとしても,その後の社会意識の変化,諸外国の立法の趨勢,国内における立法改正の動向,批准された条約等により,少なくとも今日の時点においては,立法目的と手段との間の実質的関連性は失われている。
とし、違憲としている。
この決定の少数意見とほぼ同一内容の決定が東京高裁 平成5年6月23日決定である。私の学生時代には、この決定は民法判例百選にも記載してあり、講義の中で上記最高裁決定の多数意見と東京高裁の決定の理由の差異について説明を受けた。また、当時は、民法改正について審議会から答申があり、その内容の中に嫡出子と非嫡出子の法定相続分について、差異をなくすものがあったことも最高裁の多数意見に反映されたと言われている(どうせ改正されるなら、違憲の判断をすることもないだろうという考えである)。なお、現在でもこの審議会の答申は民法には反映されていない。
学生のときも思ったたが、最高裁多数意見の「法律上の配偶者との間に出生した嫡出子の立場を尊重することによって、被相続人の子である非嫡出子の立場にも配慮して,非嫡出子に嫡出子の2分の1の法定相続分を認めることにより,非嫡出子を保護している」という部分は、やっぱり変だ。理由になってない。苦しすぎる。
最高裁少数意見は、「出生について何の責任も負わない非嫡出子をそのことを理由に法律上差別することは,婚姻の尊重・保護という立法目的の枠を超えるものであり,立法目的と手段との実質的関連性は認められない」と断罪している。
気持ちいいくらい説得力がある。非嫡出子の受けている法定相続分の差別は、非嫡出子自身には、全く落ち度がない。親の事情によるのである。非嫡出子の努力でも解消することは原則できない。法律改正又は最高裁が違憲の判断をする以外にないのである。
先日、最高裁で民法900条4号に関するもので、大法廷で口頭弁論で行われました。これが、何を意味するかというと「最高裁が判例変更をする可能性が極めて高くなった」ということです。最高裁は、棄却する場合には原則、口頭弁論をしません。書面審査だけです。
平成11年に最高裁は、抵当権に基づく妨害排除請求を認める判例変更をしました。受験時代だったので非常に印象に残っています。このときも口頭弁論があるとういだけで、判例変更の可能性が極めて高いと情報が流れました。
今回は、実務にあたえる影響が大きいので結論は分かりませんが、改正しない国会に痺れを切らしているのかもしれません。
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